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諸国漫遊記
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 ザブ・ジュダー、ジョシュア・クロッティー、二人が歩んだその瞬間だった、

ージュダーがいきり立ち、クロッティに歩み寄った。

ークロッティのトレーナーやトレーニング仲間が、彼らの間に入る。

ージュダーの取り巻き達も立ち上がった。

ージュダーがすごみを利かせる様にしてクロッティ達を睨みつけた。

ークロッティの目がぎらついた。

ーそしてジュダーが手を、、、


     ジョシュア・クロッティの飢え 前編より


 

 そこにはクロッティの大柄なトレーナーがいた。

 この小競り合いの中で一番興奮していたのが、このクロッティのトレーナーだった。

 ジュダーと頭を擦り付け合わんばかりの距離で、罵り合う。

「お前は、怖いんだろ!本物のアフリカンのパワーを!」

「なんでチャンピオンの俺が、お前らなんかを怖がるって言うんだ!」
 
 そこで展開されていた罵り合い、そこに彼等が持つボクサーとしてのプライド以上の何かを僕には感じさせた。

 それはまるで同じ人種、同じボクサーであるにも関わらず、違う民族である彼等の血が互いを認め合わなかったかのようだった。

 ジュダーが持つアフリカンアメリカンの血、そしてクロッティが持つアフリカンの血。

 近い故に、起きてしまった受け入れがたい相手の存在。彼等の目には敵か味方か、その二つの選択肢しかこの時にはなかったのかもしれない。
 
 両陣営入り乱れるように騒ぐ中、もはや一触即発となった彼等の間に入ったのはジムオーナーのブルースだった。彼等に対し、何を言ったのかは定かではなかったが、このジムに長く在籍しているジュダーファミリーをうまく説得し、彼等を外に運び出したのである。

 ふて腐れジムを出て行こうとするジュダー達の背中に、クロッティは叫んだ、

「そんなに頭に来ているのなら、外でやってやるよ!俺はお前なんか怖くもなんともないぜ!」

 それから1年後、彼等はリングの上で対峙することになる。


 当時IBF世界ウェルター級王者だったアントニオ・マルガリートがミゲール・コットとの対戦を優先し返上したタイトルを、クロッティとジュダーとの間で暫定戦を行う事が決定したのだ。米国メディアはあのジム内での争いなども書き立て、少なからずこの二人の対戦を煽った。

 そんな中行われたタイトルマッチ、クロッティが持ち前の頑丈さナチュラルなパワーで、序盤に強いジュダーを次第に詰めて行き、最後は9回、偶然のバッティングによって試合がストップしクロッティの判定勝利、初の世界タイトル栄冠となった。

 試合後のインタビューで、彼はマルガリーとへのリベンジを望んだ。そんな彼の目にジュダーはもう入っていなかった。あるいは入っていても、その写り方は変わっていたかもしれない。もはやクロッティはジュダーに証明するものはなくなっていた。

 それでも彼は納得できていたかったのかもしれない。彼はしっかりと打ち勝って自分の強さを証明したかったのではないか、自分にはその力があるのだ、と。


 しかしそれでも念願の世界タイトルを獲得したクロッティはその後、それ以上に望んだビッグマッチのチャンスを得る。

 今度はプエルト・リコの雄ミゲール・コットが持つWBO世界ウェルター級タイトルにクロッティが挑戦することになったのだ。

 その試合、クロッティはタイミングでダウンは奪われるも、その後は鉄壁のガードから攻撃に転じ、コットを何度も追いつめた。しかし結果は際どいスプリットデシジョンでの敗退。クロッティが勝利していたと見る人間も少なくはなかった、本人もそう信じていたはずだ。しかし結果は違った。

 この試合はコット第2の故郷NYで行われた。それはNYを拠点にしているクロッティ以上にコットのホームとしての色合いが強かった事は確かだった。しかしそれを受け入れクロッティは試合に臨んだはずだった。そして敗戦したのはクロッティだった。

 彼は敗戦する度、その詰めの甘さを指摘されてきた。あるいはそれは彼が試合中に”自分は相手に打ち勝った”と感じてしまうからではなかったか。彼の敗戦、それは彼の飢えが満たされているときに限って起きるようにも感じさてしまうのだ。


 クロッティはどの試合でも飢えて見えた。

 しかしその飢えは、敗戦の時に限って相手を打ち負かした瞬間に満たされ、その積み重ねで完成されるはずの勝利を、引き寄せるまでには至っていなかったのかもしれない。クロッティは打ち負かす事と、勝利する事を同じにとらえてはいなかっただろうか?そのため彼は未だ満たされていないのかもしれない。

 しかしそれ故、クロッティは飢え続ける限り、強くもあり続けるだろう。

 3月13日のカウボーイスタジアム、パッキャオは間違いなく、今まで対戦してきたどの相手よりも飢えた男と対峙することになる。クロッティは未だ飢え続けているからだ。

 そしてその試合、もしも、クロッティが全ラウンド勝利の為に飢え続けるのであれば、、、

 あるいはまた、この試合中のどこかでクロッティがパッキャオを打ち負かし、満たされてしまったとしたら、、、

 二人の対戦を待つ。


 *八王子中屋BOX

 丸山伸雄、いつものように試合に臨む(3/6UP)
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  • アフリカン
tommy 2010/03/07(Sun)12:55:46 編集
パッキャオが化けてから初のアフリカンとの対戦、本当に楽しみですね。
80年代のレナードがカルレと、サンチェスがネルソンと、ハグラーがムガビと、そして90年代のデラホーヤはクォーティとクラシックファイトを演じました。
現代のPFPパッキャオが人類の種の起源であるところの強豪と拳を交えることは、とても有意義だと思います。
というのも、私はボクシングに関して妙な黒人信仰があるんですよ。 
アリがフォアマンと戦うのが何故コンゴだったのか? なんてね(笑)
そういえばフォアマンは今回の地、テキサス出身だったなあ・・。
歴史に残るような試合になるといいですね。
  • 無題
中屋BOX 2010/03/07(Sun)22:30:00 編集
tommyさん
そうですね、本当に楽しみです。
僕も黒人信仰ではないのですが、少なくとも、この競技においては彼等の人種が一番有効な能力を持っていると思っております。
まぁ、それを活かせる人達がどれほどいるかは疑問が残りますけどね(笑)。
フォアマンはThe テキサスって感じですね!
歴史を見たいと思います。
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