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諸国漫遊記
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(後ろ右から2番目、あのパンチで世界を目指して、この国にボクシングを広めてくれ!)

 エル・サルバドルという国は旅行者の中ではさほど注目されない国だった。

 たいていの中米旅行者達はグアテマラとホンジュラスを通過し、南西に佇むこの国に立ち寄る事が無いんだよ。一つの理由に治安が余りよくないからだ。
 
 それなのに何故、僕がそんな国に立ち寄ったのか?

 いやぁ、この頃スペイン語が多少扱える様になってね、試したくなったんだよ、自分を。この国を無事に通過出来ればその後も進んで行けるだろうと思ったからなんだ。

 スペイン語学習はその後の旅路に対する恐怖が背中を押しいたからね。おかげで自分とは思えない程頑張れたんだ。


 そんな中、立ち寄ったエル・サルバドルの首都サン・サルバドル。数日で何故旅行者が余り訪れないもう一つの理由がわかったよ、あんまり行く所が無いんだ、観光的名所が。

 しかし僕には常に他の観光客と違い目指すべき場所があったんだ。

 ボクシングのジムだよ。

 そして、危険な香り漂う町中で探してきましたよ、見つけましたよ、ボクシングジム、スペイン語でいうならシムナシオ・デ・ボクセオ。

 最初に訪れたときはもう練習が終わっていたんだ。もうこの旅ではこんな事ばかりだね。

 そして次の日、もう一度ジムに近寄ってみるとそこで練習していたのはアマチュアの選手だけだったんだ。

 この国でボクシングはポピュラーではさほどなく、プロのボクサーも僅かしかそんざいしないらしい。

 なるほどね、そう言えばエル・サルバドル出身のトップボクサーというのは聞いた事が無いな。

 「なんだよ、俺たちがいるじゃないか!」

 と言って、フック気味、またはストレート気味の分類出来ない新種のパンチを放つ笑顔のアマボクサーは健やかだった。

 そこで記念写真をパチり。様になってるね。

 
 帰りに絡まれそうになり冷や汗をかいたのだ。


 
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